浮気は婚姻関係を結んでいる以上、決して許されるものではないという考えの方も多いでしょう。
もちろん、その通りなのですが、一般的な浮気の認識と法律上の認識では食い違っているところも多々あります。
では、法律上で浮気と呼ばれるのはどこからなのでしょうか。
また、罰則などのペナルティはあるのでしょうか。
など、浮気が疑われる時に法律上確認しておかなければならないことを解説していきます。
法律を知っておかなければ、後々大損したりトラブルの原因になりかねません。
しっかりと把握しておきましょう。
この記事の目次
「浮気」と「不倫」一体何が違う?一般的な意見と法律の違い
パートナーが自分以外の相手と肉体関係をもった時、「浮気」という人と「不倫」という人がいますが、どちらも一般的に使われている言葉です。
では、一体何が違うのでしょうか。
一般的に、
- 結婚前なら浮気、結婚後に配偶者以外の人と肉体関係をもったら不倫
- 結婚していても気の迷いなら浮気、本気なら不倫
と考えられていることが多いようです。
では、法律上ではどうなのでしょうか。
実は、「浮気」や「不倫」は法律用語ではなく、法律上で使われているのは「不貞行為」という言葉です。
不貞行為というのは、結婚後に配偶者以外の相手と肉体関係を持つこととなっています。
婚姻関係を結ぶと、夫婦お互いに貞操義務があり、配偶者以外の人と肉体関係を持ってはいけないことになっています。
この貞操義務を破った状態が不貞行為にあたります。
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき出典:民法(e-Gov)
法律で定められている「浮気=不貞行為」の境界線とは
法律上では、「肉体関係をもったら浮気(不倫)」となっているようですが、ここでも一般的な認識と法律上の境界線が違っているようです。
肉体関係というのは、ただセックスをするだけということではないのです。
では、法律で定められている境界線と一般的な境界線を見比べてみましょう。
境界線となる行為
- 食事やデート
- キスをする
- 体を触る
- 口淫(口腔性交や射精を伴う)
- セックス
この5つの項目で見比べてみると、
「1.食事やデート・キス・体を触る」ここまでの項目でも一般的に見れば不倫や浮気になると思っている人もいるでしょう。
ですが、法律上では不貞行為に当たらないため浮気を実証することはできません。
「4.口淫」「5.セックス」に関しては、一般的に見ても法律上で見ても不貞行為に当たり、離婚の原因になると考えられるため、浮気を実証することができます。
つまり、法律上の浮気の境界線は口淫からということになります。
ですので、セックスするだけが浮気とはならないのです。
浮気をすると何か法律上で処罰はある?
前項で、浮気は法律上「不貞行為」にあたるということでした。
では、「不貞行為」という用語があるくらいですから、浮気をした場合何か処罰はあるのでしょうか。
また、婚姻関係ではなく「事実婚」をしている夫婦の場合はどうなるのかなど、解説していきましょう。
法律上の処罰はないが結婚していれば慰謝料請求できる
結論を言えば、浮気をしたからと言って刑事上の法律で何か処罰があるわけではありません。
明治時代には浮気を処罰する法律「姦通罪」がありましたが、今は廃止されています。
ですが、婚姻関係を結んだ夫婦は貞操を守る義務があるため、それを破り不貞行為(浮気)を行った場合、配偶者から離婚を請求されたり、慰謝料を請求される可能性があります。
配偶者は、パートナーに裏切られた状態ですので、浮気を謝罪されても、離婚をしたくないと言われても、裁判になれば強制的に離婚することができます。
その上、浮気の証拠があれば慰謝料を請求されることになりますので、法律上の処罰はなくても十分痛い目を見るようになっています。
「事実婚」でも浮気をすると慰謝料を請求できる
事実婚というのは内縁関係とも言いますが、実際婚姻届けは出していないものの夫婦同様の関係にある状態を言います。
それなら、同棲やただ交際していることと変わりないのでは?と思われるかもしれませんが、次のような場合事実婚が認められやすくなります。
- 同居していて、表札は両人の苗字となっている
- 財産を共有している
これらのことが認められる状況であれば、事実婚(内縁関係)となり、婚姻している夫婦と同様に貞操を守る義務が生じます。
ですので、パートナーが自分以外の他人と肉体関係を持つと婚姻している夫婦同様、慰謝料を請求することができるのです。
法律上、浮気の損害賠償が発生する「不貞の定義」とは?
では次に、法律上で損害賠償が発生する「不貞の定義」について解説していきます。
「不貞の定義」に当てはまらない場合、浮気と認められず慰謝料を請求できない可能性もありますので、しっかりと把握しておきましょう。
パートナー以外の人と肉体関係があった場合
法律で言われる不貞の定義となるのが、パートナー以外の人と肉体関係があった場合です。
また、肉体関係だけではなく先程ご説明しましたように口淫でも不貞行為となります。
ただし、肉体関係があったというだけでは不貞の定義に当てはまらない場合もあります。
他の条件も見てみましょう。
強要ではなく自由意思で肉体関係をもった場合
肉体関係を持った場合は不貞行為となりますが、これは性行為を強要されたのではなく、あくまでも本人の自由意思であることが必要です。
簡単に言うと、強姦など本人の意思とは無関係に性行為があったからといって不貞行為になるわけではないということです。
婚姻関係が破綻しておらず別居などをしていない
浮気(不貞行為)によって慰謝料が発生する理由は、浮気が原因で婚姻関係を破綻させる可能性があるからです。
ですので、不貞行為が発覚するまでに、すでに別居状態や夫婦関係が壊れている、冷めきっている状態では慰謝料を請求することはできません。
家庭内別居の場合は、どれくらい夫婦関係が破綻しているのかは裁判所の判断となります。
あなたにとって「故意・過失」「権利の侵害」があった場合
「故意・過失」「権利の侵害」と聞くと難しく感じますが、簡単に説明すると以下のようなことです。
- 故意・過失・・・相手が既婚者だと知っていたのに肉体関係を持ったなど
- 権利の侵害・・・浮気が原因で家庭が崩壊してしまったなど
他にも様々なケースがあり、複雑な内容になっています。
下記の記事でどのような場合が「故意・過失」、「権利の侵害」にあたるのか詳しく説明していますので、ご参照ください。
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不貞の定義を実証するために裁判でも有効な証拠も必要
最後に、不貞の定義を実証するために有効な「証拠」も必要になってきます。
「証拠」というのは、パートナーが浮気相手と肉体関係をもったとされる写真や動画です。
ただし、この「証拠」を撮るのがとても難しく、浮気現場となる場所とパートナー、浮気相手の顔がきっちり写っていなければなりません。
メールやGPSの履歴は証拠として弱く、言い逃れされてしまう可能性も高いです。
証拠を掴むために、自分で調査したり探偵に依頼するなど方法は色々ありますが、裁判で確実な証拠として提出できる書類を作るなら探偵に依頼するのがベストです。
浮気調査で探偵に依頼する方法や、探偵は何をしてくれるのかなどは下記の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
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パートナーが浮気しているとわかった時に法律上確認しておくべきこと
自分でパートナーの動向を探ってみた結果、浮気をしていると分かった時に、必ず確認しておかなければならないことがあります。
この確認を怠ると、いくらパートナーが浮気をしているとわかっていても法律上実証されないため、慰謝料を請求できなくなります。
では、浮気が発覚したあと法律上何を確認しておくべきなのか、解説していきましょう。
浮気相手に慰謝料を請求する場合、支払い能力があるかないか
パートナーが浮気をしている場合、慰謝料を請求するのはパートナーになることが多いのですが、浮気相手にも慰謝料を請求したいという場合があります。
例えば妻が浮気をしていて、慰謝料を支払う能力がない場合、浮気相手に請求するということもあるでしょう。
また、浮気相手にも相応の償いをしてほしいという時も、慰謝料を請求することになります。
そんな時は、浮気相手に慰謝料を支払うだけの能力があるかきちんと確認しておきましょう。
もし、今現在、支払い能力はないが将来的に仕事に就く可能性がある場合は、公正証書を作っておくと良いでしょう。
公正証書があれば、支払えるようになった時に慰謝料を払ってもらえますので、浮気相手に支払い能力がない場合は必ずしておかなければならない対処です。
もちろん、支払い能力がない浮気相手への対処だけではなく、全ての慰謝料の支払いに関してトラブルを未然に防ぐために準備しておいた方が良い書類です。
では、公正証書について詳しく解説しておきましょう。
公正証書の作り方と慰謝料請求の仕方
公正証書というのは、裁判で決められた判決と同等の効力があるため、慰謝料の支払いトラブルを防ぐために必要です。
公正証書を作っておけば慰謝料の支払いが滞った時に、給料や財産などを強制的に差し押さえることができます。
本来、強制的に差し押さえる場合は裁判所の判決が必要となりますが、公正証書に「強制執行する」という内容を書いておけば判決を待つ必要はありません。
公正証書は個人で勝手に作成するのではなく「公証人」が作成します。
弁護士ではないため片方に有利になるようなことはありません。
探偵事務所に浮気調査を依頼して「公正証書を作っておきたい」と言えば公証人を交えて作成できるでしょう。
もちろん、公正証書は相手の同意も必要ですし、慰謝料の和解書とほとんど同じ内容を記載しますので、詳しい内容記載を公証人にしっかり主張しましょう。
公正証書の作成費用は、慰謝料の金額によって違いますが、5,000円~17,000円程度となっています。
浮気の時効が完成していないか
パートナーが浮気しているとわかった場合、「浮気の時効」も確認が必要です。
浮気の時効は基本的にあなたが浮気を知ってから3年間となっていますが、他にも時効に関する詳しい内容が下記の記事に書かれていますので、ご確認ください。
さらに詳しく
浮気の時効が完成していなければ、慰謝料の請求に何の問題もありません。
ですが、時効直前や時効が完成してしまっている場合は請求が困難になる場合があります。
では、浮気の時効直前、完成してしまった後の場合、どのように対処すればよいのか解説しておきましょう。
浮気の時効直前に慰謝料を請求する場合
慰謝料の請求はすぐにできるわけではありませんので、まずは「時効を止める」対処を行います。
時効を止める方法は2つあり、一つは「裁判」、もう一つは「内容証明郵便」があります。
まず、裁判を起こすと時効のカウントが停止します。
裁判で慰謝料請求を行うと、その時点で時効のカウントがストップしてゼロになるので、まずは裁判を起こすという方法があります。
もう一つの内容証明郵便を送る場合も裁判と同じで、慰謝料請求を内容証明郵便で送付すると時効が一時停止します。
内容証明郵便を送ってから6カ月は時効を止めることができるので、その間に慰謝料の交渉をしたり和解できるようにします。
もし、交渉に失敗したり和解できない場合は、その6ヵ月以内に裁判を起こせば時効のカウントがゼロに戻ります。
このように、裁判を起こしたり内容証明郵便を送るのは、とても難しい内容ですし専門知識が必要となりますので弁護士に依頼するのがベストです。
浮気の時効完成後でも慰謝料を請求できることがある!
もし、浮気の時効が完成してしまったら慰謝料を請求できないと思われるかもしれませんが、実際には慰謝料を受け取ることは可能です。
もちろん時効が完成していますので難しくなりますが、パートナーや浮気相手に慰謝料を支払う意思があれば受け取ることができます。
また、パートナーや浮気相手が時効の完成に気付かず慰謝料の請求を受け入れた場合、後で時効に気付いても慰謝料の支払い義務は生じます。
裁判の時に必要となる浮気の証拠を自分で撮るのか探偵に依頼するのか
パートナーの浮気を法律で実証するには、必ず証拠が必要となります。
先程も、証拠のお話しを少ししましたが、証拠がなければ慰謝料を請求することはできません。
パートナーが浮気をしているとわかったら、まずは法律で実証できる証拠を自分で撮るのか探偵に依頼するのかを考えるのも大切です。
予算や時間などによって考えは分かれるでしょう。
もし、自分で浮気の証拠を掴みたいという方は、下記の記事を参考にしてください。
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自分で証拠を撮る自信がない、不安だという人は、探偵に依頼することになります。
探偵事務所に依頼する場合、費用や日数など気になることがたくさんあると思いますので、下記の記事をご参照ください。
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浮気による慰謝料の請求方法は3ステップ!最終的に法律で解決する
浮気による慰謝料請求の方法は大きく分けると3ステップあります。
いきなり裁判に持ち込むこともありますが、基本的には口頭や書類などでやり取りをして決めていきます。
ですが、口頭や書類で決まらない場合は調停へ、調停でも決まらない場合は裁判という順で進んでい行くことが多くなります。
では、慰謝料請求の方法を確認していきましょう。
【step1】話し合い(口頭)や書類(内容証明)によって慰謝料を決める
慰謝料の請求をする場合、最初の段階として口頭や書類で解決を図ります。
当事者同士の場合は決まった方法などはなく、弁護士を仲介させる必要もありません。
ですが、口頭、書類、どちらで解決していくかは、どちらの方法が適切かを判断する必要があります。
書類で慰謝料請求を行う場合、特別なフォーマットは必要なく手紙やメールでも可能です。
もちろん、内容証明でもかまいません。
ですが、書類で請求を行う場合デメリットがあります。
書類のデメリット
- 書類でのやりとりのため時間がかかる
- 相手も回答までの時間があるので戦略を考えることができる
- 書類の場合、「情」が一切入らないため請求相手を怒らせてこじれる可能性がある
このようなデメリットがありますが、書類やメールの場合証拠が残りますから、口頭でよくトラブルとなる「言った」「言わない」ということは起こりません。
また、書類というだけで本気度も相手に伝わりますので比較的スムーズに解決します。
ただ、お互いに冷静に話し合えるなら口頭の方が解決は速いです。
相手が暴力をふるう、大声で怒鳴るなど精神的・肉体的な負担がある場合は書類の方が良いのですが、このようなことがなく冷静に話し合えるなら口頭でも良いかと思います。
口頭なら、以下のようなメリットがあります。
口頭のメリット
- その場でお互いの意見が聞けるので解決が早い
- 相手に戦略を考える時間を与えない
- 情が入るので早く解決することがある
一方、先程お話ししたようにデメリットもあります。
口頭のデメリット
- 「言った」「言わない」のトラブルになる可能性がある
- 常に頭をフル回転させなければならず、法律に疎いと不利になる
- 口下手で思ったことを伝えるのが難しい場合も不利になる
口頭か書類か、自分に適切な方を選ぶようにしましょう。
もちろん、口頭でも書類でも自分たちだけで解決できない場合は弁護士などの第三者を間に立てて解決するのも有効です。
また、自分ひとりで戦っていくのが難しいという場合は弁護士や代理人などに代理交渉してもらうことも可能です。
別居中で相手と会いたくない、もしくは連絡が取れない、冷静に話し合いができないなどの場合は代理人を立てた方がスムーズに話が進みます。
【step2】調停を申し立てて慰謝料を決める
当事者同士で口頭や書類による解決が難しい場合は「調停」を行うことになります。
調停では、弁護士や専門家など第三者に間に立ってもらい、簡易裁判所で話し合います。
簡易裁判所での話し合いがうまくいけば調停成立となり、裁判での判決と同等の効力が得られます。
ですので、調停で決まったことを相手が覆したり内容に違反した場合、財産を差し押さえるなどの強制執行も可能になります。
【step3】最終的に裁判を起こして慰謝料を決める
調停でも解決しない場合、最終的には裁判という「法律で解決する」形になります。
裁判を起こす場合は、訴える側(あなた)が訴状を裁判所に提出して訴訟を起こします。
流れとしては以下のようになります。
- 訴状を裁判所に提出
- 慰謝料を請求する相手に訴訟の連絡をする
- 出廷
- 請求相手が訴訟内容に反論がある場合、反論内容を聞く
- 請求相手の反論についてあなた(原告側)の反論を行う
(出廷~原告側の反論は4~6カ月で行う) - 当事者の尋問
- 和解勧告
- 判決
裁判となると、これだけの工程を半年ほどかけて行うため、相当な精神力が必要です。
和解勧告で裁判所から打診された内容に納得できれば、すぐに和解となりますが、納得できない場合は裁判所からの判決で最終決着となります。
裁判となると浮気の証拠を撮るための探偵費用だけではなく、弁護士費用も必要となります。
精神的な負担に加えて経済的な負担も出てきますので、調停までで解決を図れるように、探偵事務所や興信所に相談するのもよいでしょう。
中には弁護士と連携していて、調査後すぐに相談できるシステムの探偵事務所もあります。
浮気が気になるなら法律をしっかり理解しておくこと!
浮気(不貞行為)となる定義や、法律上確認しておかなければならないことなど、パートナーが浮気していると判明すると理解しておかなければならないことがたくさんあります。
弁護士レベルまで理解する必要はありませんが、最低この記事内にあることは理解しておきましょう。
特に、
この3つは必ず確認しておかなければ慰謝料の請求すらできなくなってしまいます。
法律と聞くと難しく感じるかもしれませんが、かなりかみ砕いて解説しましたのでお分かりいただけたのではないでしょうか。
浮気を知る現実は悲しく憤りもあるかと思いますが、後々のことも考えて冷静に対処するよう心がけましょう。
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